2010年3月19日
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
日本の主要都市で開催されたチベット展「聖地チベット〜ポタラ宮と天空の至宝〜」は、数多くの抗議があるにもかかわらず、今でも大阪で開催中であり、次は仙台で開催されることになっています。これに気を良くした中国政府は、江戸東京博物館でモンゴル展「チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展」の開催を行うことになりました。
チベットやモンゴルの人々が虐げられ、文化的・宗教的自由が否定されている中、これらの展示会を行うことで、中国政府は、日本国民を欺き、中国政府がチベット文化とモンゴル文化の善意の保護者であると信じさせようとしています。これはチベット人、モンゴル人そして平和を愛する日本人に対する大きな屈辱です。
残念なことは、これが日本で起こっていることであり、また日本企業とメディアの協力のもとで行われていることです。日本は力のある独立国であり、アジアで弾圧されている人々は、アジアにおける平和と正義の実現に日本のリーダーシップを期待しています。
チベット、モンゴルおよびウイグルに関するいかなる展示も歓迎するとはいえ、主催者には、これらの地域の正しい歴史と現状を展示することを要請します。また、日本の企業とメディアには共産主義のプロパガンダの道具にならないようお願いいたします。日本企業とメディアが共産主義のプロパガンダになることは、中国および日本にとって、さらには、アジア、世界平和にとって好ましくないことです。
注目すべき点は、モンゴル帝国がアジアを支配していた間、中国とチベットは共に元朝の名の下に1240年から1368年頃モンゴル帝国の影響を受けたということです。チベット仏教の指導者が交戦中のモンゴル帝国の皇帝たちにダルマラジャ(宗教上の王)となるよう影響を与えたのはこの頃で、中国がモンゴル帝国支配下から解放される18年前の1350年に、チベットはモンゴルから独立しました。これらの歴史的事実が展示会ではどのように表現されているのかみてみましょう。
自由の国、日本の皆様および報道関係の皆様には、双方の話を聞き、中国のプロパガンダに惑わされることなく、真実と正義と人間性を支持するようお願いいたします。
ありがとうございました。
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
代表:ラクパ・ツォコ