モンゴル自由連盟党

 


 

  南モンゴルの教育現状 Elsen

掲載日2009.02.23

 

   

    ■モンゴル族学校教育の現状とその問題点

    中国で五つの少数民族自治区がある。内モンゴル自治区は、その中で一番早く成立した自治区である。内モンゴル自治区は中国の北部に位置し、面積が118平方キロ、人口は2375万人であり、その中でモンゴル民族は、402万人であり、内モンゴル総人口の16,96%を占めている 。内モンゴルの殆どのモンゴル人たちは、牧畜業と農業に頼って暮らしている。それ以外、少数のモンゴル人は、内モンゴルの各大小都市で暮らしている。内モンゴル自治区の学校は、三種類に分けことができる。すなわち、モンゴル民族学校;漢民族学校;モンゴル民族と漢民族が混合している学校である。モンゴル民族学校に、モンゴル語を全然知らない漢族教員がいていることもある。モンゴル民族学生が小学校三年生からはじめて中国語を勉強することになる。でも、漢民族学校で中国語を全然知らないモンゴル族教員とかいることは、全区域のなかで一例もないこと。モンゴル民族と漢民族混合している学校では、もちろん漢民族学生と教員が多数である。

    内モンゴル自治区で、モンゴル族人口が16,96%におとしめられ、モンゴル民族学校数が少なく、また散らばっている。自冶区の全地域に分散している。「内モンゴル民族事務委員会」の2005年の統計によると、全地域で、モンゴル民族小学校は1267箇所、中学校は222箇所、高校は57箇所、モンゴル民族職業中学校は17箇所、モンゴル民族職業高校は17箇所、モンゴル民族幼稚園は210箇所である。そして、モンゴル民族小学校教員は20182名、中学校教員は9810名、高校教員は4339名、職業中学校教員は696名、職業高校教員は969名である 。周知の通り、中国政府の統計数字は、いつも事実より高く、実際はこれより低いのは間違いない。

    1992年のケ小平の「南巡講話」 以後、中国では全体的に「市場化」の波が起きた。そして、国有企業、病院、学校まで「市場化」への改革が進んだ。モンゴル族学校も同じく「市場化」が進み、経費の問題や学生数等の問題で、多くのモンゴル学校は、漢族学校と合併することになった。もともと内モンゴルでは、各ガチャで小学校、各ソムで中学校(あるところで高校まであった)、各旗で一以上の高校があった。大小都市では、小学校、中学校と高校が一つ以上あった。「市場化」になった後、多くの田舎のモンゴル小学校と中学校が廃棄された。現在、内モンゴルのモンゴル学校の状態は、廃校されるか合併することになっている。その結果、モンゴル族の子供たちが、就学することにいろいろな難しい問題が出てきている。そして、子供たちの学校の付近に住むことが、家長たちに困った問題となっている。今の内モンゴルでは、多数の家長たちが、学校の付近で安い部屋を借りて子供を通学させている。その上、内モンゴルで子供が入学する時、学費、教科書代、保険料、学校の色々な費用、更に家賃、子供の世話をする大人が、都市に住むことになる。

    内モンゴル地域における民族教育の現状を理解するため、今年の三月、内モンゴル地域で、現地調査をしました。

   ウランハダ市(赤峰市)の昔の名前はジョ−オド盟であったが、1983年に自治区政府の「モンゴルアイマガを市に変える政策」の下で、ウランハダと言う市になった。モンゴル地域の名前を漢語に変える政策はモンゴル地域を漢族化にすることである、と考えられる。全市で7個旗、2個県があり、総人口は461万人、この中、モンゴル民族は80万人である 。今、全市のモンゴルガチャの全小学校と全ソムのモンゴル中学校を全部減らして、毎ソム に 一所小学校、旗に一所中学校と一所高校しか残っていない。この状態は、ウランハダ市だけではなく、全内モンゴル地域でモンゴル学校はこのように減らされた。その上、内モンゴルのモンゴル人たちは、子供が通学することに困り、親が子供と一緒に町へ移住するということが増えた。この状況を理解するため、遊牧民たちを訪問した。

    第1には、60代のオドンさんでした。彼女は、「今の社会で生活するのは大変なことになっている。この上、子供を通学させるのは何より難しいことになっている、私、毎月60元でソムに小さい部屋を借りて、孫と一緒に住んでいる。安いから部屋の条件はとても悪い、私は文字も読めないから、孫の学習することを助けることもできず、ご飯だけ作っている、毎週の土曜日、息子がオートバイで二人を迎えに来る、条件が悪い部屋に住んでいたため、今年、私は病気になった。孫の世話する人がいないから、今困っている」と言った。

    第2には、30代の男性のスーホさんでした。彼によれば、「今のところ遊牧村で生活するは大変ので、放牧しようとも草場がない、耕作しようとも土地がない、旗ソムから遊牧民たちのための良い政策がない、今、私たち遊牧民は苦しい生活をしている」といった。

    第3に訪問した人は40代の男性、ワンジラさんでした。彼は、「私の生活は日増しに貧しくなっている、私の三人の子供の内、二人が中途で退学し、一人の子供が中学校を卒業した。私の草場は、国の放牧を禁止する地帯に囲まれているから、放牧する生活は全然できなくなっている」と言った。このように、モンゴル高原で、大昔から自然と調和しながら暮らしてきた牧民の生活状況は、厳しくなり、家畜がない、土地もない、貧困、出稼ぎする、子供が中途で退学するなど、遊牧村の社会的問題になっている。

    内モンゴル地域で、草場を毎戸に請け負う「責任制」を執行することになった。しかし、政府から牧民の草場を、強制的に「 回復生態 」 と言う名下で放牧することを禁止され、住んでいる住宅を取り壊して、「移民区」で20平方米の小さい部屋に住まされるのは、珍しくないことになった。そして、内モンゴルのモンゴル人たちは、自分の故郷で「移民」になることになった。しかしながら、政府側は内モンゴル地域 に 農業を営んでいる漢族には、「 回復生態 」政策を実施していないのは不平等である。遊牧民たちは、子供の通学や高い医療費のことで経済的困り、漢族農民から高利の借り入れをすることがある。

    遊牧民たちの生活水準を理解するため、ウランハダ市のバヤンタラガチャ を調査した結果、このガチャの89戸家庭の中で、生活がやや裕福である家庭は10%ぐらいであり、この中で、ガチャ長と共産党支部書記及び彼らの親戚たちが半分以上を占めている。これ以外の、30%ぐらいの家庭の生活はぎりぎりであり、60%ぐらいの家庭は生活できない状態で、借金で生活を維持している。 全ガチャの70% の家庭は、漢族農民から高利の借り入れをすることになった。しかし、中国政府や内モンゴル自治区政府のマスコミは、「人民たちの生活水準はますます高まって、今人口一人当たりの一年の平均水準は2000$になった」と報道しているのは、全く空しいことである。

    2007年の内モンゴル自治区政府の報告 によると、「内モンゴル自治区では、2007年に九年義務教育を普及した」と報告している。これは事実ですか?調査の結果で内モンゴル地域のモンゴル民族義務教育は九年ではなく、八年の教育であることがわかった。内モンゴル地域のモンゴル民族教育は、今年まで小学校5年制、中学校3年制の制度を実施しているのに、「モンゴル民族教育は、九年の義務教育を普及した」、というのは事実ではない。続いて、モンゴル民族教育の「八年」義務教育の状態を理解するため、ウランハダ市のバヤンタラガチャに現地調査をした。このガチャで89戸、人口は359人があり、全ガチャの20歳以下の人々の中で、中学校と小学校を中途退学した人は21名がいる。これは総人口の6%を占めている。359人口がある小さい遊牧村で、21名の人が学校から中途で退学した事になっていたとから見ると、政府側の「全内モンゴルの400万人のモンゴル人たちに義務教育を普及した」というのは、また事実ではないことが容易にわかる。

    中国政府は、モンゴル学校の条件を改善するという政策の下で、内モンゴルのモンゴル学校を減らしているのは、モンゴル民族教育を徹底的に破壊していることになる。また、中国のある規定の中で、「モンゴル族が漢 語で 教育を受ければ、大学と大学院に入る試験点数に10点を加える」という「優遇政策」があって、モンゴル学生が、漢族学校に通学校することを支持 している 。その上、モンゴル大学を卒業したモンゴル学生が就職することはても難しいため、内モンゴル地域の60%ぐらいのモンゴル人の子供は漢語教育を受けて、漢族学校に通学している。内モンゴル「教育出版社」の統計によると、「内モンゴル教育出版社」から出版されているモンゴル小学校一年級の「語文」という教科書は、1992年に68600冊であったのが、2006年では22500冊まで減られている。なぜこう減らしたのか?政府側の報告によれば、原因は「モンゴル族の子供の人数が減少した」と言っている。しかし、中国の全国人口調査の統計によると、1982年で内モンゴル地域のモンゴル族は248万人であり、1990年の統計で337万人であり、2000年の統計で402万人になった。こう見ると、内モンゴル地域のモンゴル人は増えていることがわかる。

    中国でモンゴル高校を卒業した、成績優秀な学生を中国の各漢族大学が募集する規定があるため、多数の優秀なモンゴル生徒が、漢族大学で勉強することになる。そして漢族大学に入学した後、漢族学生は4年制であるのに、モンゴル学生は5年制になることになる。また、この大学を卒業した後、就職するとができるから、モンゴル人の多くの学生が、漢族大学への入学を目指して、一生懸命勉強することになっている。

    政府側は、内モンゴル地域で民族教育政策を実施していると言っているが、モンゴル学校の「語文」課程以外の全教科書は、漢語の教科書を翻訳ているものである。すなわち、モンゴル学校の小学校一年から高校までの全部の教科書は漢語教科書を翻訳したものである(「語文」以外)。全国の統一試験でも、漢族学校の試験問題を翻訳したものである。どんな民族でも、教育を通じて自分の民族の言語、文字、習俗、歴史、文化などを子孫に伝えていると言えば、内モンゴルのモンゴル民族は、教育を通じて、子孫に翻訳されたモンゴル語、漢族の習俗、歴史、文化などを教えていることになっている。この上、また「熱愛中華人民共和国」と「熱愛中国共産党」という内容などを中心にして教えている。人は自分の民族の優秀な文化と歴史を勉強した以後、自分の民族のために 努力しようと いう 信念が芽生えるといえば、ほかの民族の文化を十年ごろ勉強している内モンゴル人の学生達にはモンゴルアイデンティティーがどれ程度存在しているかと言うことは非常に難しい問題である。

    教育問題の上、内モンゴル地域の生態環境の汚染や砂漠化、牧民の経済的貧困、文化的同化されているなどは、今日の内モンゴルの社会の問題になっている。

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